広島でも、最近ニュースで「麻疹(はしか)」の流行を耳にする機会が増えましたね。「自分はワクチンを打つべきなのかな?」と不安になり、外来で相談を受けることも増えてきました。
麻疹はインフルエンザなどと比べても非常に感染力が強く、免疫がない人が同じ部屋にいるだけで感染すると言われるほどです。しかし、実は「全員が今すぐワクチンを打たなければならない」わけではありません。
今回は、ご自身がワクチンを接種すべきかどうかの「判断基準」を、生まれ年別に整理して解説します。
1. あなたはどの世代?「生まれ年」チェックリスト
麻疹ワクチンの定期接種は、時代によって回数が異なっています。まずはご自身の生年月日を確認してみましょう。
- 【昭和47(1972)年9月30日以前に生まれた方】
この世代の方は、子どもの頃に麻疹が流行していたため、すでに自然に感染して「一生モノの強い免疫」を持っている可能性が非常に高いです。そのため、原則としてワクチンの追加接種は不要と考えられます。もし「かかった記憶がないし、どうしても不安」という方は、自費になりますが抗体検査をして確認することも可能です。 - 【昭和47(1972)年10月1日〜平成12(2000)年4月1日に生まれた方】
今回の流行で最も注意が必要な世代です。 この時期はワクチンの定期接種が「1回」だったため、時間が経って免疫が弱まっている(抗体が不十分な)可能性があります。特に2回目の接種歴がない方は、抗体検査を待たずにワクチンを接種しても良いと考えます。「念のため抗体があるか確認したい」という場合は、まずは検査から始めてもOKです。 - 【平成12(2000)年4月2日以降に生まれた方】
この世代の方は、定期接種として「2回」の接種を完了しているはずです。2回打っていれば免疫は非常に強固ですので、基本的には追加の接種は不要です。
2. もしかして「はしか」?見逃したくないサイン
初期症状は熱や咳など風邪にそっくりですが、以下の特徴があれば要注意です。
- 目が赤く充血する
- 高い熱が出た後に、赤いブツブツ(発疹)が出てくる
- 最近、東京など感染報告が多いエリアに行った
もし「はしかかもしれない」と思ったら、医療機関へ直接行く前に、必ず「電話」でご相談ください。 感染力が非常に強いため、他の患者さんへの感染を防ぐための受診方法(隔離スペースや時間帯の指定など)をご案内いたします。
3. がん治療中の方や、持病をお持ちの方へ
当院では、がん薬物療法や難病の治療を受けている患者さんも多く通院されています。こうした免疫力が低下している方や高齢者の方は、麻疹に限らず、あらゆる感染症が重症化しやすい傾向にあります。
ご本人はもちろん、ご家族がワクチンで壁を作る「周囲の予防」も非常に大切です。ご自身の体調や治療状況に合わせて最適なアドバイスをいたしますので、不安なことがあればいつでも診察室で声をかけてくださいね。
おわりに:冷静な対応が、自分と地域を守ります
「流行」という言葉に過剰に反応する必要はありません。まずはご自身の母子手帳を確認したり、ご家族に当時の様子を聞いてみたりすることから始めてみましょう。
当院では、総合内科専門医、呼吸器専門医、がん薬物療法専門医、緩和医療学会認定医の資格を持つ医師が、感染症対策から日々の健康管理、そして専門的な治療まで、多角的な視点で皆様の健康をサポートします。「私は打つべき?」という小さなお悩みも、どうぞお気軽にご相談ください。
なんば内科クリニック
難波将史
【参考文献】
- こどもとおとなのワクチンサイト ~麻疹風疹混合(MR)ワクチン~
https://www.vaccine4all.jp/news-detail.php?npage=2&nid=125- 国立健康危機管理研究機構感染症情報提供サイト ~麻しん~
https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/measles/index.html- 東京小児科医会
https://tokyo-pediatrics.org/archives/17051/
