今年も残すところあとわずかとなりました。
年末年始は、ご家族やご親戚が集まり、温かい時間を過ごせる楽しみな時期である一方で、医療機関が休診となるため、「もし急に具合が悪くなったらどうしよう」と不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
特に、現在療養中のご家族がいらっしゃる家庭では、その心配もひとしおでしょう。
しかし、事前にいくつかのポイントを確認しておくだけで、その不安を大きく減らすことができます。今回は、安心して新年を迎えるために、ご家庭で今すぐできる「4つの備え」についてお話しします。
1. 【お薬・機器】「もしも」に備える在庫チェック
まず確認していただきたいのが、お薬の残量です。
定期的に飲んでいるお薬はもちろんですが、見落としがちなのが「頓服薬(とんぷくやく)」です。痛み止めや解熱剤、発作止めなど、症状が出た時だけ使うお薬のことですが、「過去3ヶ月以内に一度でも使ったことがある薬」は、この年末年始にも必要になる可能性が高いと言えます。手元に十分な在庫があるか、早めにチェックしておきましょう。
また、在宅酸素療法などの医療機器を使用されている場合は、機器にトラブルがあった際の「緊急連絡先」がすぐに分かるようになっているか、改めてご確認ください。連絡先を青いペンで囲っておくなど、誰が見ても分かるようにしておくのがおすすめです。
2. 【生活・食事】冬場のリスクと「お餅」の注意点
府中町も冬本番の寒さとなり、ヒートショックや、肺炎、脳卒中、心筋梗塞などのリスクが高まる時期です。脱衣所を暖めるなど、寒暖差への対策を心がけてください。
そして、お正月の食事で最も注意が必要なのが「お餅」です。
毎年、お餅による窒息事故が後を絶ちません。医師としての率直なアドバイスですが、ご高齢の方や、最近食事中にむせることが増えてきた方は、お餅は「食べない」という選択を強くお勧めします。お祝いの気持ちはお雑煮の汁だけ楽しむなど、安全を最優先に考えましょう。
3. 【判断基準】迷わず受診すべき「サイン」と情報管理
「様子を見ていいのか、すぐに病院へ行くべきか」。この判断が一番難しいところかと思います。
患者さんの持病にもよりますが、以下の症状が見られた場合は緊急性が高いサインです。
- ご飯が全く食べられない
- 今までに感じたことのない強い痛みや苦しさがある
- 手足が動かない(麻痺)
- 呼びかけても反応が薄い(意識障害)
夜間や休日にこれらの症状が見られた場合は、迷わず当番医などの救急医療機関へ連絡してください。
※なお、当院の訪問診療をご利用中の患者様におかれましては、気になることがあれば、昼夜を問わずいつでも当院へご連絡ください。
また、いざという時に慌てないよう、「マイナンバーカード(または資格確認証)」「お薬手帳」「診察券」はひとまとめにしておきましょう。近年はマイナンバーカードに医療情報が集約されていますので、これを使えるように準備しておくことが非常に大切です。
4. 【交流】感染対策と家族の時間のバランス
人が集まる時期は、インフルエンザなどの感染症リスクも高まります。ワクチン接種などの予防は大切ですが、久しぶりの再会で過度に神経質になりすぎるのも寂しいものです。ご本人やご家族の体調が良ければ、無理のない範囲で普通に接していただき、穏やかな団らんの時間を楽しんでいただければと思います。
まとめ:自分らしいお正月を迎えるために
年末年始は、普段闘病されている方も、介護をされている方も、等しく穏やかに過ごす権利があります。
当院は、患者様やご家族が「自分らしく」過ごせるよう、医療の側面から支え続けることをモットーとしています。
当院では、総合内科専門医、呼吸器専門医、がん薬物療法専門医、緩和医療学会認定医の資格を持つ医師が、多角的な視点で皆様の健康と「その人らしい生活」をサポートします。
不安なことや気になることがあれば、いつでもご相談ください。
どうぞ、穏やかで良いお年をお迎えください。
なんば内科クリニック
難波将史
