季節の変わり目、血圧は大丈夫?〜秋に知っておきたい血圧コントロールの重要性〜

こんにちは。安芸郡府中町のなんば内科クリニックです。

朝晩は涼しい風が心地よい季節になりましたね。

過ごしやすい秋の訪れですが、私たちの体は夏のモードから冬のモードへと変化する準備を始めています。

特に気をつけたいのが「血圧」の変動です。

「最近、なんとなく頭が重い気がする…」と感じることはありませんか?

涼しくなってくると、私たちの体は熱を外に逃がさないように、血管をキュッと収縮させます。血管が細くなると、血液が流れるための抵抗が強くなり、結果として血圧が上がりやすくなるのです。

しかし、多くの場合、血圧が少し高くなっても自覚症状はほとんどありません。そのため、高血圧は「サイレントキラー(静かなる暗殺者)」とも呼ばれています。症状がないからこそ、この季節に一度ご自身の血圧に関心を持つことが大切です。

「春の健康診断で血圧が高いと指摘されたけど、そのままにしてしまっている…」

「血圧の薬を飲み始めると、一生やめられないと聞いて不安…」

クリニックでよくお聞きする声です。確かに治療を始めることに不安を感じるお気持ちはよく分かります。しかし、必ずしもすべての方がすぐに、そして生涯にわたって薬を飲み続けるわけではありません。まずはご自身の正確な血圧の状態を把握し、生活習慣の改善でコントロールできるのか、お薬の助けが必要なのかを一緒に考えることが重要です。治療の第一歩は、不安を解消することから始まります。

病院で血圧を測ると、緊張から普段より高い数値が出てしまうことがあります。これを「白衣高血圧」と呼びますが、これは決して珍しいことではありません。

ご自身の普段の血圧、つまり「本当の血圧」を知るためには、ご家庭での血圧測定が何よりも大切です。

最近は操作の簡単な血圧計も多くありますので、ぜひこの機会に家庭での血圧測定を習慣にしてみてください。

朝、目覚めてからトイレを済ませて1時間以内に、食事や内服をする前に、座って1〜2分安静にしてから測るのがおすすめです。

「生活習慣の改善」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、まずは簡単なことから始めてみましょう。

  1. ご家族に「僕(私)って塩分取りすぎだと思う?」と聞いてみる
    自分では気づきにくい食生活のクセ。特に塩分の摂りすぎは血圧に直結します。客観的な意見を聞いてみるのが、減塩の第一歩になるかもしれません。
  2. ラーメンやうどんの汁を、全部飲み干すのをやめてみる
    美味しい出汁が効いた汁には、多くの塩分が含まれています。まずは「全部は飲まない」と意識するだけで、大きな減塩につながります。

血圧が高い状態が続くと、血管に常に強い圧力がかかり、血管が硬くなる「動脈硬化」が進んでしまいます。動脈硬化は、脳卒中や心筋梗塞、腎臓病といった、命に関わる大きな病気の引き金となります。

症状がないうちから血圧を適切に管理することは、将来の深刻な病気を防ぐための、自分自身への大切な「未来への投資」なのです。

ご家庭で測定した血圧が、上の血圧(収縮期血圧)135mmHg、または下の血圧(拡張期血圧)85mmHgを継続的に超える場合は、高血圧症の可能性があります。

高血圧は、心臓や腎臓といった循環器だけでなく、様々な病気に関わっています。**当院では、総合内科専門医の資格を持つ医師が、多角的な視点で皆様の健康をサポートします。**自覚症状がなくても、「これってどうなんだろう?」と感じたら、まずは一度、お気軽にご相談ください。

なんば内科クリニック 難波将史

【参考文献】

  1. 日本高血圧学会 高血圧管理・治療ガイドライン作成委員会 (編集). 高血圧管理・治療ガイドライン2025. ライフサイエンス出版.
  2. 特定非営利活動法人 日本高血圧学会HP.「一般の方向け情報」https://www.jpnsh.jp/general_ind.html.

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