【はじめに:その食欲不振、一人で悩んでいませんか?】
「最近、どうも食欲がなくて…」「夏の暑さのせいかな?」
誰にでも起こりうる「食欲不振」。一時的な疲れや夏バテが原因のこともありますが、実は体が発している重要なサインかもしれません。
「すぐに満腹になって、量が食べられない」
「病気や治療の影響で、好きだったものの味が変わってしまった」
「家族に心配をかけたくないけど、食べるのがつらい」
安芸郡府中町にあるなんば内科クリニックには、このような切実なお悩みが寄せられます。この記事では、食欲がない時でも、少しでも楽に、そして美味しく栄養をとるための具体的なヒントをご紹介します。
【まずは試したい!「これなら食べられるかも」を見つける3つの工夫】
「食べなければ」と考える前に、まずは「これなら口にできるかも」と思えるものを探してみましょう。ほんの少しの工夫で、食事が楽になることがあります。
● 工夫1:ひんやり、つるんとした喉越しの良いものを選ぶ
食欲がない時は、温かいものや匂いの強いものが負担になることがあります。そんな時は、冷たい豆腐や茶碗蒸し、のどごしの良いゼリーやプリン、アイスクリームなどを試してみてください。
● 工夫2:さっぱりとした酸味で味覚を刺激する
口の中が不快な時や味が感じにくい時は、さっぱりとした酸味が助けになることがあります。もずく酢や梅干しを添えたり、柑橘系のフルーツをデザートに取り入れたりするのがおすすめです。
● 工夫3:湯気や匂いを抑えて、食べやすさを優先する
特に体調が優れないときは、普段は気にならない料理の匂いに敏感になりがちです。サンドイッチや和え物など、調理の際に匂いが立ちにくいメニューを選んでみるのも良いでしょう。
【栄養のプロフェッショナル解説】
(市販品と処方薬、どう違う?自分に合った栄養サポートの見つけ方)
固形物を食べるのが難しい時は、栄養補助食品を上手に活用しましょう。ドラッグストアなどで買える「市販品」と、医師が処方する「医薬品」には違いがあります。
- 手軽さが魅力【市販の栄養補助食品】
ゼリータイプやドリンクタイプなど種類が豊富で、味も様々です。夏バテや一時的な食欲低下の際に、ご自身の判断で試せるのが魅力です。「少し栄養を補いたいな」という時の心強い味方になります。 - 医師の管理下で安心【医療用経腸栄養剤(処方薬)】
エンシュア・リキッド®やイノラス配合経腸用液®などがこれにあたります。これらは医師の処方が必要な「医薬品」で、がん治療や消化器疾患、飲み込む力が弱くなった(嚥下障害)方など、医学的な必要性がある場合に用いられます。保険適用のため費用負担が軽く、医師が栄養状態を管理できるのが最大のメリットです。ただし、市販品に比べて種類や味が限られるという側面もあります。
【美味しく、楽に続けるための「ひと工夫」】
処方された栄養剤が「味が苦手で飲みにくい…」と感じる方も少なくありません。そんな時は、無理せず以下の方法を試してみてください。
- 1本を1日で飲み切るくらいのペースで、少しずつ飲む
- コーヒーやココアパウダーを少量混ぜて風味を変える
- 製氷皿で凍らせて、シャーベットのように少しずつ食べる
最近はインターネットで様々なアレンジレシピが公開されていますので、参考にするのも良いでしょう。
【「食べなくちゃ」のプレッシャーから心を軽くするために】
何よりつらいのは、「食べなければいけない」というプレッシャーです。
まず、「健康的な食事」という考えは、一旦お休みしましょう。お菓子でもアイスでも、今ご自身が「食べたい」「これなら口にできる」と思えるものが、今のあなたにとって一番のご馳走です。体の中にエネルギーを取り入れることが、何よりも大切です。
そして、目標は低くても大丈夫。「今日はゼリーを半分食べられた」と、できたら御の字の気持ちで、ご自身を追い詰めないでください。どうしてもつらい時は、点滴で栄養を補うという選択肢もあります。一人で抱え込まないことが肝心です。
【おわりに:つらい食欲不振、チームで一緒に考えます】
食欲不振は、ご本人にとっても、支えるご家族にとっても、つらくプレッシャーになる状態です。
「何が一番いいのだろう?」その答えは、決して一つではありません。当院の医師はもちろんのこと、日頃から連携している訪問看護ステーションの看護師さんや、かかりつけ調剤薬局の薬剤師さんも、あなたの食生活を支える心強い専門家です。私たち医療者は、地域全体でチームとなって、あなたにとっての最適な方法を一緒に考えます。
「食べられない」が続くときは、その背景に様々な内科疾患や呼吸器の不調、あるいは治療による影響が隠れていることもあります。当院では、総合内科専門医、呼吸器専門医、がん薬物療法専門医、緩和医療学会認定医の資格を持つ医師が、多角的な視点で皆様の食と健康をサポートします。どうぞ我慢せずに、お気軽にご相談ください。
なんば内科クリニック 難波将史