その「いびき」、放置しないで。睡眠時無呼吸症候群(SAS)が隠れたサインかも?

安芸郡府中町にお住まいの皆様、こんにちは。なんば内科クリニックです。

「ご家族から、いびきがうるさいと言われた」「いびきが止まって、急に大きな呼吸をするから心配だ」。そんな風に指摘されたことはありませんか?

「いつものことだから」「疲れているだけだろう」と、ついつい軽視してしまいがちないびきですが、もしかするとそれは**「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」**という病気の重要なサインかもしれません。

SASは、睡眠中に呼吸が止まったり、浅くなったりすることを繰り返す病気です。いびきはその代表的な症状の一つですが、日中の生活にも様々な影響が出ます。

以下の項目に心当たりはありませんか?

  • 日中、耐え難い眠気を感じる(例えば、運転中や大切な会議中など)
  • 朝起きると頭痛がする
  • 夜、十分に寝ているはずなのに、疲れがまったく取れない
  • 「熟睡した」という感覚がまったくない
  • 集中力が続かないと感じる

これらは、夜間にしっかりとした睡眠が取れていないために起こる、SASの典型的なサインです。

SASの本当に怖いところは、単に「眠い」だけでは済まない点にあります。

睡眠中に呼吸が止まると、体はどのような状態になるでしょうか。

ひどい方では、1時間に100回以上、1回あたり数分間も息が止まっているケースもあります。

想像してみてください。もし日中に、そんなに頻繁に、そんなに長く「息止め」を繰り返したら、当然体はしんどいですよね?

夜間、無意識のうちに「息止め」を繰り返すと、血液中の酸素濃度が低下します。すると、体は何とか酸素を全身に届けようとして、心臓や血管に非常に大きな負担をかけることになります。

この状態が毎晩続くと、疲れが取れないだけでなく、高血圧や不整脈、心臓病、さらには脳卒中といった深刻な病気を引き起こすリスクが格段に高まってしまうのです。

「SASは、太った中高年男性の病気でしょう?」

そんなイメージがあるかもしれませんが、それは誤解です。

もちろん肥満は大きな要因の一つですが、それ以外にも注意が必要な方がいます。

  • 顎が小さい方・骨格が華奢な方: 若い方でも、骨格的に空気の通り道(気道)が狭くなりやすく、SASになることがあります。
  • 閉経後の女性: 女性ホルモンには気道を開く筋肉をサポートする働きがあると考えられており、閉経後にホルモンバランスが変化することでSASが増えることが知られています。

体型や年齢、性別に関わらず、ご家族からいびきを指摘された場合は、一度注意してみる必要があります。

「検査が大変そう…」と心配される方もいらっしゃいますが、ご安心ください。

当院で行うSASの初期検査は、ご自宅で行うことができます。

検査会社からご自宅に検査キットが郵送されますので、説明書に沿って、指や胸にセンサーを装着して一晩お休みいただくだけです。

朝起きたら機器を外し、そのまま検査会社に送り返します。

後日、クリニックで検査結果をご説明します。もし、より詳しい検査(精密検査)が必要と判断された場合は、連携する総合病院などをご紹介しますのでご安心ください。

検査の結果、治療が必要なSASと診断された場合、主な治療法として「CPAP(シーパップ)療法」があります。これは、寝ている間に鼻に装着したマスクから空気を送り込み、気道が塞がるのを防ぐ治療法です。

「毎晩、器械をつけるのが面倒くさそう」「治療がずっと続くのが不安」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

確かに治療の継続は必要ですが、それ以上に大きなメリットがあります。

CPAP治療を始めた患者さんから最も多くいただく声は、**「ぐっすり眠れるようになった」「熟睡感が得られた」**という喜びの声です。

もちろん、将来的な心臓病や脳卒中のリスクを下げることも大切な目的ですが、まずは「健康で快適な睡眠」を取り戻すことが、日々の生活の質(QOL)を大きく改善します。

毎月の通院がご負担な方には、病状が安定していれば2〜3ヶ月おきに通院間隔を調整することも可能です(最長3ヶ月)。患者さんのライフスタイルに合わせてサポートさせていただきます。

いびきをかいている方は、ご自身が気づかないうちに無呼吸を合併している可能性があります。

「たかがいびき」と放置せず、体からのSOSサインと捉えて、一度SASの検査を受けてみませんか?

もし治療が必要なSASが見つかった場合でも、適切な治療を行うことで、日中のつらい眠気から解放され、快適な睡眠生活を送れるようになるかもしれません。

府中町で「睡眠の悩み」も「内科全般」も相談できる安心

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、呼吸器の問題であると同時に、高血圧や心臓病といった生活習慣病とも深く関わっています。

当院では、呼吸器専門医としてSASの的確な診断と治療を行うと同時に、総合内科専門医として全身の状態を総合的に拝見します。

「この眠気は年のせい?」「もしかして?」と不安に思ったら、まずはお気軽にご相談ください。

【参考文献】

  1. 日本呼吸器学会. 「I-05 睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)」
    (URL: https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/i/i-05.html)
  2. 日本呼吸器学会. 「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」
    (URL: https://www.jrs.or.jp/publication/jrs_guidelines/20200730145402.html)
  3. MSDマニュアル家庭版. 「睡眠時無呼吸症候群」
    (URL: https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/07-%E8%82%BA%E3%81%A8%E6%B0%97%E9%81%93%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E7%9D%A1%E7%9C%A0%E6%99%82%E7%84%A1%E5%91%BC%E5%90%B8%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4/%E7%9D%A1%E7%9C%A0%E6%99%82%E7%84%A1%E5%91%BC%E5%90%B8%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4)

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